新築したので実験しよう!

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頭の体操: 換気と気密、第一種熱交換換気のよくある誤解

第一種熱交換換気について、ネットを見ていると、ときどき、建築士の方でも、工務店の方でも、施主の方でも、わざとの場合もありますが、誤解とも曲解ともとれるような発言や書き込みがみられます。

ここでは、それらを再構成して、解説してみます。

決して熱交換換気や第一種換気をどなたにでも薦めているわけではないので、頭の整理ないしは体操用にどうぞ。


⭐基礎知識

第三種換気: 排気口のみに電動ファンを使う。給気口は、ファンのない穴(フィルターがあったりなかったり。)

第一種換気: 排気口と給気口の両方に電動ファンを使う。

第一種熱交換換気: 第一種換気に熱交換機能を足したもの。

さらに第一種熱交換換気も、いくつかに分類できますが、ここではやめておきます。それ以前の誤解についての話です。


①レンジフードの熱損失と熱交換換気に関する誤解?


✕結局、レンジフードやトイレ、浴室で大量に換気するなら、熱交換換気にしても意味がない。だから、高断熱を優先すべき。


◯結局、レンジフードやトイレ、浴室で大量に換気するなら、熱交換換気にしても、高断熱にしても、意味がない。だから工夫すべき。


です。熱交換換気は、0.5回/時の24時間換気の熱損失を回収するだけです。直接レンジフードと関係ありません。

それが意味なくなるくらい、他で何倍も換気され続けるなら、どんな熱でも同じです。高断熱も意味がなくなるので、対策が必要です。


レンジフードは、同時給排にするか、もっと効果的なのが、近くに連動する電動シャッターを設けて、換気のショートカット(後日追記:ショートサーキットの方が一般的ですね😇)を起こすことです。

このことは、福田温熱空調さんのブログで、繰り返し解説されています。

http://fok.sblo.jp/s/article/182693792.html

http://fok.sblo.jp/s/article/180256914.html

http://fok.sblo.jp/s/article/70856694.html


あるいは、高価になりますが、IHやラジエントヒーター専用で、室内循環式レンジフード、ダクトレスレンジフード、という製品があります。これらは、屋外との換気をしないので、CO2やCOを排出できません。

そのため、火を使う調理器具、ガスコンロを使う場合は使えません。


トイレは、24時間換気の排気経路に含めるなら、特に対策はいりませんね。

我が家のように含めない場合、人感センサーをつけて、トイレに人がいるときだけ、換気する方法がよくとられるようです。

高気密専用の換気扇が各社から販売されており、例えば大手電機メーカーの換気扇なら、値段も通常の換気扇と、ほんの少ししか変わりません。


浴室も、24時間換気の排気経路に含めるなら、特に対策はいりませんね。

各社のユニットバスには、第三種換気用の24時間換気扇が、オプションで用意されています。

あるいは、こちらのクローバーさんのように、浴室横に換気扇がある場合もそうです。

https://yotubanoclover.muragon.com/entry/920.html


一方、浴室を24時間換気の経路に含めない場合は、何種の換気であれ、浴室の換気分、熱損失があります。

その対策は、こちらでまとめて触れました。

https://torikaji.muragon.com/entry/15.html

https://torikaji.muragon.com/entry/18.html


②熱交換と電気代の誤解?

✕熱交換換気すると電気代が高くなる。

◯第一種換気は排気にも給気にもファンがあるから電気代が高くなる。


熱交換するかしないかは、直接は関係ありません。第一種の特徴です。


つまり、第一種にした時点で高くなります。

熱交換するかしないかは、その次の話です。


もちろん、消費電力の高い熱交換換気扇はありますが、その消費電力の違いは、必ずしも、熱交換の性能とは直結しません。個々の製品の問題です。

より高価で多機能な製品が、熱交換の性能に比べて消費電力が高いこともありますので、選定には、注意が必要です。


例えば、我が家で採用したlt-50 proは、同じ日本スティーベルのlt-50 ecoより機能は多くより高価ですが、熱交換の性能は変わらず、消費電力は多くなってしまっています( ノД`)…

壁にコントローラを埋めたくなかったので仕方ないです。

全台連動するおかげで、CO2濃度でのlt-50proの自動制御もできましたし。

https://torikaji.muragon.com/entry/16.html

(この制御、我が家の家計でみれば安くなりますが、我が家の換気のためにアメリカやヨーロッパのサーバーまで信号が行き来していることを考えると、世界トータルでみるとどうなのか?エコなIoT機器が広まる中、全体の収支はどうなっているのでしょうね?)


③換気とC値やUa値の関係の誤解?


先に結論を書きます。


✕Ua値を良く(小さく)しないと熱交換換気は意味がない。


◯C値を良く(小さく)しないと熱交換換気は意味がない。


✕C値が悪い(大きい)と第一種換気は効かないから、第三種換気の方が良い。


◯C値が悪い(大きい)と、隙間風が増え、まず、熱交換やフィルターが効かなくなり、さらに悪くなると、第三種換気の給気口が効かなくなる。それでも第一種換気の給気口は効く。


です。以下、順に説明します。


まず、

Ua値と熱交換換気は直接は関係ないので、それぞれの人の好きにすれば良いことです。


例えば我が家の場合、Q値への熱交換換気の効果は、計算上は、付加断熱と同等です。


1. 数十万円の熱交換換気の初期費用と給気口にもファンが付くための数十年の電気代の増加(壊れたらまた初期費用かかる。)


2. 数百万円の付加断熱の初期費用と付加断熱の厚さ分の東京の土地代(といっても、お金払ったら境界をずらせるわけではない。)


さて、同じ効果なら、あなたは、どちらを選びますか?


答えは、人によるでしょう。だから、工務店やハウスメーカー、youtuberではなくて、あなたが決めることなんです。


ただし、C値を良く(小さく)しないと熱交換換気は意味がないので、計算上、Q値をよくするためだけに、C値が悪い(大きい)のに熱交換換気を採用するのは避けるべきでしょう。


以前Ua値ではなくQ値が広く宣伝されていた頃に、そういう大きな会社があったせいで、熱交換換気に対して厳しい目を持つ方が増えたのかもしれません。


次にいきます。


✕C値が悪い(大きい)と第一種換気は効かないから、第三種換気の方が良い。


◯C値が悪い(大きい)と第三種換気の給気口は効かないから、第一種換気の方が良い。だけど、わざわざする人は少ない。


で、一と三の書き間違えではないですよ。簡単な話です。

C値が悪い(大きい)と隙間風(自然換気、漏気)が増えます。

そのとき、第三種では、排気口の近くの隙間風を吸い込み、本来の給気口が働かなくなります。

一方、第一種では、給気口にもファンがありますから、隙間風はあるにせよ、本来の給気口からも外気を取り込むことはできます。

しかし、給気口から以外も隙間風がどんどん入りますから、熱交換は効きません。

また、第三種の方が屋内を屋外より陰圧に(気圧を低く)するため、隙間風がより起きやすくなります。


では、C値が良くなるとどうなるか?


まず、

◯C値が良く(小さく)なると第一種換気でなくて、第三種換気の給気口でも有効に換気できるようになる。


この目安のC値が、1と言われています。


その次に、

◯C値が非常に良く(小さく)なると、隙間風(自然換気)が24時間換気の換気回数0.5回/時より充分小さくなる。すると、第三種でも第一種でも、外気の大半が、24時間換気の給気口を通るようになる。このため、フィルターや熱交換が有効に働くようになる。(気圧差のない第一種では隙間風が第三種より、さらに少なくなる。)


この目安のC値が、0.5です。


つまり、

◯C値が非常に良い(非常に小さい)と、隙間風がほとんどなくなり、第一種換気も第三種換気も給気口のフィルターが効くようになる。第一種では熱交換も有効にすることができる。


ということです。


ちなみに我が家は、喘息気味や花粉症の家族のために、温熱、断熱よりも空気質、換気が最優先でしたから、考え方として、


空気質のために給気口を全てフィルタリングしたい

(計画当初はきづかなかったけど、本来この時点でC値を1以下にすべき。)

より隙間風の影響なく確実にフィルターを通して給気できる第一種換気を採用

もし換気扇の風が寒いと、強運転しづらくなるから、暖かい方が良いので熱交換を採用。

隙間風をなくしてフィルターと熱交換を効かせるためにC値を0.5以下に。


という流れでした。


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