新築したので実験しよう!

35年ローンで実験装置✕ 自宅◎を作ったので、実験したい! (2023年9月以前の投稿に、一部、試しに入れたアフィリエイトリンクが残ってますが、その広告収入を目的とした記載内容の記事はありません。)

実験: GWのDIYオーバーヒート対策 Q値自動制御型スマートハウス

大仰な題名にしてみましたが、今回は、GW(ゴールデンウィークです グラスウールではなくて(^^ゞ)中に、断熱と換気の観点でスマートハウス化の実験をした話です。


結論から書くと、換気扇の熱交換器のオンオフと換気風量を自動制御することによって、外気温でQ値を自動制御できるスマートハウス化がうまくいきました(#^.^#)


我が家の温熱性能については、下の方で補足しますが、東京都心にHeat20 G1程度の外皮に熱交換換気&C値0.35の高気密、住宅密集地での日射取得のために、南東〜南西の吹き抜けに窓を並べた、三階建ての準耐火建築です。(熱交換はUa値に反映されませんが、無理矢理換算すると、Heat20 G2相当の温熱性能になります。)



今回、新居で初めてのゴールデンウィーク、ほぼずっと家で過ごしてみて、日射取得によるオーバーヒートを体感しました。


「明るく開放感があり、空の見えるリビング」が家族も私も強い要望の一つでしたので、昼の南側の窓からの日射も、夕方の、眺望の良い北西の窓からの西日も、一日中、どこかからリビングに日射が入ります。
念のため、全ての窓を遮熱ブルーにしてますが、それでも、日射取得が多過ぎたのかもしれないくらい(^_^;)


さて、住宅をある程度以上高断熱にすると、冷暖房を使ってない、このGWのような中間期にも、日射などによる熱が逃げにくいため、必要以上に暑くなってしまうオーバーヒートが起きることがあります。


オーバーヒートは、3月4月にも数回ありましたが、今回、それが続くようになりましたので、換気扇の熱交換のオンオフや換気風量の自動制御を試して見たところ、うまくオーバーヒートが抑えられ、一応、快適になりましたので、記事にしてご紹介しておきます。


今回の我が家の場合は、外気温も、外壁付近では局所的に急上昇して30℃を大きく超えていましたので、典型的なオーバーヒート現象ではないかもしれないですが、外気温が快適な温度に下がっても、一度上がった室温が高止まりし続ける現象は低断熱では起きにくいため、中間期の高断熱化による弊害と言えるでしょう。


このオーバーヒートの対策としては、一般的には


・日射をブラインドやカーテン、簾で遮蔽する(予め軒や庇を長くして建築する)
・窓あけをして通風する
・冷房をつける


といったことが考えられます。


しかし、今回、我が家では、


・「空が見たい」と窓を配置し、リビングを明るくする採光のために日射も取り入れたのに、室温のためだけに空と日射を遮りたくない。


・喘息や花粉症対策で、外気はフィルターを通したい


・まだ冷房は使いたくない
(梅雨や真夏には、オーバーヒートと冷房を併用して除湿する、という考え方もありますが、まだ少しだけ時季が早い。)


ということで、今回は、別の方法を試すことにしました。


その方法が、換気扇の熱交換のオンオフや風量制御です。


昨日までの8日間の屋外と各階の温度変化の結果を示します。
外気温以外の温度では、最初の二つの山と比べて、それ以降の山が抑制されたことが明らかにわかるかと思います。


階毎に日射の取得状況が大きく異なるため、全館で空気を循環していても、無冷房では、各階の日中の室温も大きく異なってしまっています。


屋外(日射で周囲の建造物も温まり、局所的に気象情報よりも暑い。むしろヒートアイランド現象?)
外気温

外気湿度


3階(日射遮蔽 中、満遍なくほんわり明るい)
室温

湿度


2階(日射遮蔽 弱、室内に日向があり、非常に明るい)
室温 一番、室温高い。

湿度


1階(日射遮蔽 強、薄暗い中に木漏れ日のよう)
室温 オーバーヒートしていない。

湿度


それぞれの日の状況は、


1日目2日目(4月30日・5月1日)
冷房なし、熱交換換気オン(Q値G2相当)で2階がオーバーヒート


3日目昼(2日昼)
妻が我慢できず、この日の数時間だけ、2階に冷房をつけた。


3日目夕方〜4日目昼(2日夕方〜3日昼) 
冷房なし、熱交換換気オフを試行。(Q値G1相当)昼は過ごしやすくなったが、夜に外気温が下がると換気扇からの給気が冷たく、室温も想定より下がる問題も生じた。


5日目夕方〜8日目(3日夕方〜7日)
冷房なし、熱交換換気オンオフ自動制御。(Q値をG1〜G2相当で自動制御したスマートハウス)
熱交換換気オフの時よりは室温が高めだが、給気が冷たくなりすぎることもない。


というところでした。


冷房を使っていない4日目以降も、最初の2つの山の、30日〜1 日と比べて、外気温は大きく下がっていないのに対して、室温は明確に下がっていることがわかると思います。


2階リビングは、それでも室温が高めで、空気の動きも停滞していたので、扇風機代わりに、冬の間は収納にしまっていたサーキュレーターを設置したら、やっと快適になりました(^_^;)


ただし、外気温がもっと上がって来ると、これも焼け石に水になるでしょう。近いうちに、他の対策(手間と梅雨の湿度対策を考えると、冷房が有力。)も必要になると思います(-_-;)


そのときも、この自動制御自体は、一年を通して夏にも冬にも、冷房期にも暖房期にも、外気温が快適になる瞬間があれば、エアコンと併用できるのが利点です。


使用機器は、全てこれまでの記事で紹介しました、
温度などの計測: netatmo ウェザーステーション
(屋外はWeatherUndergroundなどの気象情報、屋内はSwitchbot温湿度計やnature remoなどで代用可能です!)
熱交換換気扇: スティーベル LT-50pro
(赤外線リモコン付なら他の熱交換換気扇も可。壁スイッチなら、Switchbotで可能)
自動制御: switchbot hub mini と IFTTT pro
の組み合わせです。
switchbot hub miniはNature Remo miniでも代用可能です!IFTTT pro は有料サービス、年間39.9ドル。


設定した制御条件は、また様子見て調整すると思いますが、
(後日追記:その後、IFTTT proのクエリ機能とフィルター機能を使って、温度・湿度を同時にチェックする、もっと丁寧な制御に変えてます(^_^;))
外気が28℃以上⇒熱交換オン、風量2、急速換気オン(4時間だけ風量3)
外気が27℃以下⇒熱交換オフ、風量3
外気が21℃以上⇒熱交換オフ、風量3
外気が20℃以下⇒熱交換オン、風量2、急速換気オン(4時間だけ風量3)
で、外気が快適な温度の間は、熱交換せずに大風量で外気をそのまま取り入れ、それ以外の温度では熱交換して風量も下げ、外気の影響を防ぐ設定です。


ほかに、梅雨の湿気や冬の乾燥も考慮して、試しに、
室内が湿度65%以上⇒熱交換オン、風量2、急速換気オン(4時間だけ風量3)
室内が湿度35%以下⇒熱交換オン、風量2、急速換気オン(4時間だけ風量3)
も今回、全ての階に設定しました。


CO2 や感染症対策として、
室内がCO2 900ppm以上⇒急速換気オン(4時間だけ風量3)
も以前から全ての階に設定しています。


↓はSwitchbotの実行履歴です。


地域によって違いはあるかと思いますが、今回試してみて、この自動制御方法は、我が家と同じような地域・状況なら、なかなかよい方法なのではないか、と思いました。


一方、この方法の一番の欠点は、制御を外部ネットワークに頼っていることと、IFTTT Proの会費です(^_^;)
(IFTTTは、制御項目を絞れば無料プランでも可能です)


なお、このような熱交換換気の自動きりかえ機能は、一部の全館空調機器には元々備わっている機能です。導入される場合は、ぜひ、高気密もセットでご確認ください。


気密がC値1を超えてくると、換気システムを通らない自然換気(漏気)が多くなり、熱交換の意味があまりなくなり、C値0.5あたりを切ってくると、かなり有効に熱交換が効く計算ですので。



☆我が家の断熱性能について補足


断熱というと、Ua値のHeat20 G2超えや、もっとつきつめてG3やパッシブハウスにこだわる場合もあるかと思います。もちろん、それはそれでよいのですが、その一方で、コストや構造などの兼ね合いで、そこまでできないかもしれない方のために、我が家の事例もご参考までに補足しておきます。


外皮性能を追求する観点では、我が家の外皮の断熱性能は、Ua値の簡易計算ではG1にもZEHにも届かず断熱等級4。詳細計算ではG1とG2の間と中途半端。


しかし、それでも、住宅の形状は断熱に有利な立方体に近く、さらにC値0.35の高気密で熱交換換気なので、Q値で判断すると、かなり余裕をもってG2超え相当です。


でも、G3には全くかすりもしないくらい。


そもそも、ZEHやG1程度から、さらに高断熱にする方法としては、


1. 壁と柱を厚く太くし、断熱材も厚くする。


2. 付加断熱をする。


3. 断熱材や窓やドアの性能を良くする。


4. C値0.5程度以下の高気密にしたうえで熱交換換気にする。(熱交換換気の効果は、原理的に、気密性能に大きく依存します。)


などの方法があります。


高気密高断熱を推進する会社では、冬の寒さ対策のために、まずは1、2の断熱材の厚さや3の断熱材や窓やドアの性能によって、外皮の高断熱を追求することが好まれる傾向があるようです。


一方、4 の熱交換換気は設備の話なので、Ua値には全く表れず、Heat20の外皮グレードでも全く考慮されません。Q値やC値、さらに具体的な換気扇の製品の消費電力までを考慮する必要がありますが、例えば我が家の場合、Q値で0.3近く、Ua値換算で0.15近くと、付加断熱と同程度の効果がある方法です。


我が家の経緯としては、まず、東京都心の住宅が密集した狭小地(延床42坪の3階建てなので狭小住宅ではないです。)で、1, 2を選ぶ土地の余裕が充分にありませんでした。


3は、準耐火建築のために窓や玄関ドアも非常に高価だったものの、コストの許す範囲で精一杯性能を上げた結果でしたが、あとから計算してみるとG1より良い程度のUa値でした。


その一方で、4の高気密&熱交換換気は、我が家では、喘息や花粉症対策のため、最優先事項として、しっかり性能上げして、建てていただきました。


また、他にもたくさん、土地柄と家族の要望に合わせて、科学的におかしくなさそうなアイデアは、標準的な設計とは異なっても「実験してみよう!」と思い切って盛り込んで、設計・施工をしていただきました。


一方で、我が家の建築中、上棟後に「Ua値がHeat20 G2の目安の数値を超えないとダメ」、というYoutubeが流行りだしたのを、薦められて見てしまったときは、しばらくの間、かなり困惑してしまいました。


G2の目安に満たない外皮を高断熱と呼ばない、なら、別にそれでも問題ないですし、もちろん、参考になる動画も非常にたくさんありましたが、


ともすると、
・外皮がG2から0.01でも劣る住宅は建てるべきではない!
・G2未満を建てる会社はダメな会社!
とか、
・断熱上げないのに熱交換は邪道!
とか


科学的には、断熱の程度に明確な境目はありませんし、いったいなぜこんなに断言できるのか、わけがわからなくなりました(T_T)


大人気な動画やYouTuberだったりすると、何か自分が気づいていない、明確な根拠があるのかも?と、やはり、非常に不安を煽られ思い悩んだものでした(._.)


冷静に考えれば、口が滑っただけだったり、勘違いしていたり、大げさに言っていたり、誤りを含んでいても、わざと多くの人に伝わりやすい表現をとっていたり、そもそも科学の話をしていない、と、わかる話です。


私の本業でも、残念ながら、言い間違えや勘違いもあります。このブログでも、時々あり、追記で訂正や補足をしています。今なら、むしろ、自分も気をつけよう、と反省する方向に考えられます。


それなのに、まさに自分の家の計画中や建築中にそういう動画を見ると、なかなか冷静に見れないものですね(^_^)ゞ


当時は、かなり困惑して、念のため、明確な根拠があった場合のために、我が家のUa値をG2以上に改善するために必要な追加施工の確認と計算もしました。


でも、結局、いくら考えても調べても、Ua値だけでそこまで言い切れてしまう「科学的な根拠は全く見当たらなかった」ため、それはとりやめました。


では、我が家の設計で、本当に良かったのか?というと、それは今回のように、住みながら実験して確認しているところです。


新居に住んでから、実際の冬の室温も、1台のエアコンだけで、1~3階、トイレや玄関まで暖房でき、暖房費も想定通り、高くなっていない、と確認でき、安心しました。


外皮やUa値だけでなく、家の形状や熱交換を含めたQ値だと、我が家も、G2とG3の間に相当する上で日も差していたので、妥当な結果ではありますけれども(^_^;)


その一方で、冷蔵庫が2台あったりするので、暖房・空調費以外の電気代は残念ながら安くはないのは、我が家の今後の生活の課題です。。


そして今回、中間期のオーバーヒートへの、熱交換のオンオフによるQ値自動制御の効果もしっかり体感・検証できました(#^.^#)


ただ、GWの外気温も室温も、どちらとも予想外に高かったのも、正直な感想です。


残るは、梅雨と、真夏の直射日光との勝負です(^_^)ゞ


また後日、それぞれの時期が来たら、検証してデータとともにご紹介したいと思います。


なお、本来、Heat20のG1,G2,G3グレードとはなんなのか?については、↓の動画チャンネルが、会員限定と言いつつも、なぜか公開されていますので、これを見ると正確に理解できると思います。

プロ向けの内容ですが、気になったところを勝手に要訳すると、


「これまでの一般的な間取りと生活の発展形として、自立循環型住宅モデル(第三種換気)の外皮だけを考えるとG2〜G3 を推奨するけれど、G1を超えたあたりから、吹き抜けなど色々な建て方や、これまでと違う様式の生活もできるので、参考にしながらご自分の基準をお作りください、あくまでも冬を想定したシミュレーションの結果なので、もっと複雑な夏については、解説はしているものの、個々の住宅の設計で工夫してください、より詳細な地域毎の計算も用意しています。」


という感じです。正確な引用ではないので、気になる方は、ご自分でご覧ください。


結局、様々なYouTubeや、ブログも、業界団体の提唱値も非常に参考にはなるものの、法規や、教科書に載るような議論の余地のない科学的事実を除くと、全ての土地柄やご家族にピッタリ合う、共通した明確な答えはなかなかない、ということでしょう。


もちろん、このブログも、主には、我が家の結果を紹介しているだけです(^_^;)


我が家の計画中にも、日本各地の方々の考え方を読んでいましたが、高気密高断熱を推進されている、各地の建築家や専門家の方々の提唱されている内容をよくよく見比べても、やはり、その方の拠点とされる地方や、さらに個々の土地柄によって、具体的な方法や優先順位が少しずつ異なります。


現在計画中の方は、気密断熱は大事ですが、やはりコストの制限もあるでしょうし、色々参考にしたうえで、でも、一見わかりやすそうでいてセンセーショナルに煽る動画などには、あまり囚われすぎずに、その土地柄やご家族の優先順位に合わせて家を建ててくれる人達・工務店・ハウスメーカーを見つけ、本気で相談して納得して計画できると、迷いや後悔が少なくなるかと思います(*^^*)

↓テーマ毎のブログ記事のまとめも参考になりますね♪

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