新築したので実験しよう!

35年ローンで実験装置✕ 自宅◎を作ったので、実験したい! (2023年9月以前の投稿に、一部、試しに入れたアフィリエイトリンクが残ってますが、その広告収入を目的とした記載内容の記事はありません。)

高気密住宅の「閉塞感」と「開放感」は紙一重: 24時間換気扇の風量測定

C値0.35の高気密住宅に日本スティーベル社のダクトレス第一種換気扇lt-50proを導入した我が家。住み始めて3ヶ月、新居では窓は出入り口以外全く開けませんけれども、今まで住んだどんな家・集合住宅よりも屋外に近い、常に窓を全開にしたような心地よさと、熱交換ならではの暖かさを感じていました。


換気扇の風量は、1~3階まで全館一括制御で、CO2濃度を監視して、自動制御するように設定しました。この制御も全く問題なく、高気密住宅でも全く閉じられた感覚がなく、ただただ、屋外より温かく、空気のきれいな、そして静かで外の喧騒の聞こえない、過ごしやすい高原に来たような「開放感」です。


今回は、この換気扇のフィルターを標準フィルターからPM2.5用フィルターに交換しながら、換気扇の風量をDIYで実際に測定して、今後どう運用するべきか検討しましたが、その過程で「閉塞感」を感じることもありましたので、「閉塞感」を感じず「開放感」を感じるためにはどうすれば良いか、について考察しました。


元々のフィルター交換の目的は、

無暖房時に比較的室温が低い1階の換気をさらに調整して室温を均一にすることでした。


今回、なんとか、その本来の目的の調整を途中まで行えましたが、当初、単純にフィルターを交換して試したところ、フィルター交換による調整は段階がなさ過ぎて、意外と難しいこと、失敗すると「閉塞感」を確かに感じることを実感しました。それで結局、真面目に風量測定の実験をしてから調整することにしたお話です(x_x)

測ると良く理解できて良いのですし、このブログのタイトルに合っているのですけれどね、結構大変です(^o^ゞ


まず、一階だけ、全部PM2.5フィルターに交換して、自動制御の設定は元のままにして1日過ごしました。


結果、1階がどんな感じになったかというと、明らかにやり過ぎな感じ。


たまに高気密住宅に「閉塞感」を感じる、とか、「音が響きすぎる」、という人の書き込みがあるけど「これか!」という感じです。


ということは、高気密住宅で不快に感じるのは、情緒やら、古い考え方や思い込みやらとの論争がネット上で起きることがありますが、違いますね。単純に設計や換気の設定が悪く、「体感として通気がない」と、実際に起きうる問題だと納得しました。


思いだすと古いマンションに住んでいた時、アンダーカットなしのドアを閉めた無換気の寝室、こんな感じだったな、と。車に乗ってドアや窓を閉めた、エンジンをかける前の感じ、と言ってよいですね。明らかに換気不足な時と同じ感覚です。


しかし、今回は実際に換気不足かというと、空気質の観点では、全くそんなことありません。自動制御全館の空気の循環が効いてますので、2、3階の換気が充分効き、1階もCO2濃度はほぼ常に1000ppm以下に保たれていました。第一種換気なので、屋外との明確な気圧差もありません。数値で確認しても、「空気質は、何も問題がない」のです。


実際はそこまで強い「閉塞感」でなくとも、我が家では、これまで正反対の「開放感」を感じていたので、それが逆転する落差が大きく、初めての感覚でわかりやすかったのでしょう。


それで気になる、気持ち悪い、閉塞感を感じる、というのは、恐らく「微妙な空気の動き」や、あるいは「音の抜け方」、「屋内の微妙な圧力差」まで無意識に感じている、ということなのでしょうね。無音室が気持ち悪い、というのと似ているかもしれません。


もしかしたら、普段、耳や肌で安全に気を配っている人の方が、余計に気になるかもしれません。(私もそうです。不快というよりも、なんか不安になります。)


入居後これまで、そういう不安感を全く感じず、屋内の空気に屋外以上の爽やかさを感じていたのは、バランスの取れた換気のおかげだったのだ、とよくわかりました(^o^ゞ


そして、元に戻すのは進歩がない一方、フィルターの交換は微調整が効かないことから、しっかり風量測定して、考察してから、1階の換気扇をしっかり調整し直すことにしました。


温度調整の観点からは、

・色々設定を変えても、2階は暖かい傾向がある。

(3階建ての2階は床下も屋根もないため、外皮が少ないのが恐らくの理由。)

ということもなんとなくわかってきていますので、今回は、1階の流量調整を試しましたが、しばらく様子を見た後は、もう少し方式を変えて、3階も一緒に改善することを考えています(^o^ゞ


さて、まず、

こんな感じで、自作の段ボールフードで(測定中はさらに手で押さえながら)風量の測定をしました。


結果から先に出します。(測定方法は、下の方のおまけで解説します。)


注:下記、フィルターの性能の低下や、PM2.5フィルターの風量制限について書きますが、フィルターとはそういう物です。

この製品以外でも、もちろん、換気方式(第一種・第三種とか、ダクトありなしとか)や、会社の違いによらず、フィルターでは必ず起きる現象の話ですので、お間違えのないようお願いいたします_(._.)_


左が測定した風量です。風速を測って、風量計の面積を掛けて求めています。

・排気と給気が交互でおこなわていること。

・モード1, 2, 3で風量が変わる様子

が、まあ、ちゃんと測定できていますね(^o^ゞ


lt-50proの仕様は、風量が、モード1,2,3でそれぞれ15、30、50 m3/hです。

標準フィルターで測定してみて、どのモードも、仕様のほぼ7割でした。そのため、計算間違えたか測定方法が良くなかったか考えましたが、そうではなく、標準フィルターの汚れが原因でしょう。

今回、入居後3ヶ月使用して、説明書どおり掃除機で掃除した後の測定です。しかし、後ろの方のおまけに写真も載せますが、測定に使わなかった換気扇のフィルターを試しに水洗いしたら、水が真っ黒でしたので、やはり東京の空気は汚い、ということなのでしょう。とりあえず、この程度は常に性能が落ちることを前提で、今後の運用を考えたいと思います。


右は温度変化です。風量が小さい方が、温度が高いことから、熱が逃げないことがよくわかります。風量計には温度計もついているので温度も測定しましたが、風の温度ではなく、風による機器の温度の変化のため、定量的には、参考程度ですね。


PM2.5フィルター(新品)はどうでしょうか?

事前に問い合わした際、風量3で25 m2/h程度と伺っており、少し落ちますが確かに近い値です。性能が落ちた標準フィルターの風量2と同程度です。

右の温度変化のカーブの形状もほぼ似ていることから、熱交換の効率は、モーターの回転数のモードではなく、実際の風量で決まることがわかります。(実際の風量が小さいほど良い。)

PM2.5フィルターの風量を、今度は2に下げてみました。今度は、性能が落ちた標準フィルターの風量1とほぼ同等ですが、かなり排気が不安定でした。PM2.5フィルターに付いてきた説明書に、必ず風量3で使うように書いてありましたが、このせいでしょう。

そして、PM2.5フィルターの風量を1にすると、風量計のファンが回らず、測定できませんでした。手をかざすと微かに風を感じます。


これが、最初に試した一晩、私が閉塞感を感じた理由ですね。その時の我が家の設定は、標準が風量1、CO2が900ppmを超えたときだけ、風量3、でしたから。


では、「屋外と同じ感覚」「窓開け換気と同じ感覚」の「開放感」を体感できる通気には、どのくらいの風量が必要か?


今度は、「自然換気 = 漏気 = すきま風」をつくり、測定してみました。

この手のダクトレス第一種熱交換換気扇は、ユニットを引き抜くとただの穴になります。

もちろん、気象によって異なりますが、たまたま外の植木も全く揺れてないとき、この穴を測定してみると。

5 m3/hでした。このくらいの換気がどの換気箇所でもあると、私にとって屋内で全く閉塞感を感じない、高気密住宅で屋外や窓開けと全く同じ感覚の「開放感」、ということなのでしょう。


確かに、閉塞感を全く感じない標準フィルターの風量1では、この自然換気と同程度以上の風量があります。


そして、標準フィルターの風量1と自然換気の一番の違いは、温度ですね。自然換気の、右の温度計の表示は、やはり冷たい外気に直接触れて、どんどん下がります。熱交換換気の意味が充分あることを、確認しました。


そして、問題は2つ。

1) PM2.5フィルターは、確かに風量3でしか運用できない。(2や1では換気が不安定で、CO2濃度が上がる・閉塞感を感じる。)→自動制御の意味がなくなる。

2) 標準フィルターの汚れがひどく性能が落ちる環境下で、外気に直接触れる屋外側のPM2.5フィルターの換気性能が維持できるとは、とても思えない。

(より早く性能が落ちるはず。)


lt-50 proのフィルターは、換気扇ユニットの外側と内側の2枚ずつです。PM2.5フィルターもその2枚の構成。屋外側のフィルターの外側に、粗ごし用のプレフィルターもなにもないので、恐らく短期間で詰まるでしょう。


それぞれ、下記の性能の記載がフィルター販売サイトにありますが、どちらも2枚合わせての性能とのことです。G3とF7は、EUのフィルターの規格です。もちろん、F7の方が上。

標準フィルター: G3クラスのフィルターです。10μmのエアロゾルを85%除去します。

PM2.5フィルター: F7クラス相当のフィルター。PM2.5を80%キャッチします。


↓屋内側標準フィルター装着

↓屋内側フィルターなし。蜂の巣状の熱交換素子が見える

↓屋外側標準フィルター装着

↓屋外側フィルターなし。ファンが見える。

ファンが屋外側のため、風量3でも、屋内で音が小さめとのこと。

内側も少し黒くなってますね。屋外側フィルターがなければ、どれだけひどくなっていたのか。。。我が家の場合には確かにスティーベル社の製品が良かったみたいです。お薦めしてくださった福田さん、どうもありがとうございます。


↓屋内側PM2.5フィルター装着


性能はよさそうなフィルターですが、とても屋外側で長期間性能を保てるとは思えません。


それで、PM2.5用をどちらか1枚だけ使用すると、どうなるか?標準フィルターと混ぜて色々な組み合わせで試してみました。

結果としては、かなり複雑な変化で、まとめる気が失せましたが、ほとんどが、PM2.5フィルター屋内+屋外の2枚の場合と比べて劇的に風量が増えることもなく、むしろ減ったり不安定になるケースもありました。


その中で一つだけ、実用的な組み合わせが見つかりました。

↓これです。

風量3で、標準フィルターの風量2よりは、安定した風量を保てています。


風量2で、標準フィルターの風量1よりは、安定した風量を保てています。


これを1階にだけ使えば、通常の運転モードを、これまでの風量1から風量2に上げることで、2, 3階は風量2, 1階は安定した風量1程度に抑えた状態が作れます。

そして、CO2濃度が900ppmを超えると自動的に風量3になり、風量3になっても、1階はこのPM2.5フィルターで

風量2程度に安定して抑えられる。

という運用が可能です。

また、フィルターにより、一階の空気質の向上も期待できます。


具体的には、どうしたかというと?

もう一度、↓屋内側標準フィルター装着の様子

これ、構造を眺めると、明らかに、もう一枚フィルターを挟めるように設計されています。(もしかしたら違う目的だったかもしれませんが、引っ掛ける部分の寸法まで、ぴったりです。)


これを利用して、屋内・屋外に標準フィルター装着の状態から、さらに屋内用のPM2.5フィルターを装着しました。


これなら、屋内用PM2.5フィルターよりも屋外側に、屋内側・屋外側の2枚の標準フィルターがプレフィルターとしてある形になるので、フィルターの順番としても理想的です。これなら、PM2.5フィルターの目詰まりの恐れが大幅になくなります(^O^)


ひとまず、1階だけこの形式にして様子を見ることにします。

これと別案として、

・PM2.5フィルターは水洗いできなさそうなので、標準フィルター2枚重ねの方が実用的かもしれません。

・例えば、バランスのため1, 2, 3階とも標準2枚重ね、換気調整はむしろ換気経路の変更で、というのが、本題の温度の均一化には、最適な気もしてきています。(lt-50proなら可能)

いずれにせよ、実際に風量測定すれば、不快な「閉塞感」を感じる環境を確実に避けて、考えながら「開放感」を感じる環境に調整できることが今回よくわかりました。


空気質についても、間違いなくフィルターが非常に役立っていることがよくわかりました。

フィルターの掃除時、屋内側の標準フィルターには白い粉(ハウスダスト?花粉?どっち?)がつき、屋外側の標準フィルターは、内側まで黒い粉がついていました。そして、水洗いするとどちらも真っ黒な水が出ました。

しばらくして、その白と黒の粉がどのようにPM2.5フィルターについているかで、今後どういう構成が良いのか、わかることを期待します。

(2023年1月追記、結局、1〜3階の全ての換気扇を標準フィルター2枚重ねにすることに落ち着きました。それでもPM2.5も軽減できていることも他の記事で測定しています。)


また、温度の均一化については、さらに別案を試して、より改善できれば、と思います。


なお、この調整のキッカケだったエアコンの設定ですが、この数日、子供からも寒いと言われた妻が、さすがに少し設定温度を上げました。

エアコンの自動モード、「おまかせノクリア」については、毎日快適モードの暖房(21~25℃)は、我が家の妻や子供たちには高すぎたようですのでやめて、最低限安全な温熱環境を保つ毎日みまもりモード(室温を15℃以上31℃以下に維持)に変えました。


毎日快適モードと違い、毎日みまもりモードには、除湿の自動運転がありませんが、除湿は我が家の場合、除湿器を連続自動運転できるので、これで最低限の温熱環境は、我が家の最優先順位であった「安全」の範囲内にオールシーズンで自動運転できます。(加湿も屋内物干しと風呂換気でそこそこ快適に。)


私の役目は、この「安全」の確保まで。

そこから先の「快適さ」のための運転設定は、各階とも、オンオフや温度設定を妻と子供とAIに任せることにしました。


温度設定が一律でなく、私の手を離れているので、今後、詳しい解析に基づく考察はできなくなった気がしますが、そのうち、AIについて気づくことがあれば、書くことにします(^o^ゞ


(2023年1月追記、結局その後、エアコンのAIもうまくいかず、各階に置いた温度計付きのechoとAlexa定形アクションを使った設定温度の自動制御を組んでうまく全館の冷暖房ができています。)


以下は、おまけの

⭐風速の測り方と風量の求め方

⭐標準フィルターの水洗いの様子

です。


⭐風速の測り方と風量の求め方

今回使ったのは、この風量計です。

中国メーカーの風量計で、PCに記録できるのが売りだったのですが、届いてみたら32bitのWIN7までのPCしか対応しておらず、USBを通してCOMポートを使用する仕様だったため、PC3台試して1台のデスクトップだけ不安定ながら動いた、かなり厳しい接続でした。(今回は中国の安物だから事前にわからなかったものの、同様のトラブルは日本製の機器でもよくある話です。)


lt-50proを覆うのにちょうど良いAmazonの箱があったので、風速計の計測部より少し小さな穴を開けました。

これを最初の写真のように養生テープで充分気密が取れるように目張りして、手でもしっかり押さえると

まあ、しっかり測れてます。

この風速に3600を掛けると時速になります。

写真の風速は、kmで言うと時速10.8kmですね。

計測部の風が通る部分の直径を測ると61.0mmでしたので、面積の30.5x30.5x3.14mm2をかけて、単位をmに揃えると、31.5 m3/h と風量を出すことができました。どの階のどこの換気扇を測っても、風量3で、おおよそ同程度の風量でした。


グラフに示した時間ごとのデータの記録は、風量計に付属のソフトを入れたデスクトップPCから、USBリピーターケーブルで風量計のUSBケーブルを延長して届く箇所の換気扇で測定しました。

デバイスマネージャーでポートを確認して、どうも、ポート3になったPCだけ、測定に使えていました。(理由がそれか不明です。)それでも毎回ポートを選び直したり接続しなおしたり、接続が不安定でした。

それでも安価な千円程度の差額で「ソフトで測れる」ということは大きいです。もし接続のための仕様が公開されていたとしても、同等のソフトを自分で作るのは何週間もかかかりますし、特注すると最低でも何十万円かはかかりますので。


⭐標準フィルターの水洗いの様子

PCで測定したのとは別の箇所のLt-50proのフィルターを水洗いしてみました。

入居後3ヶ月使い、掃除機で充分、ついていた白い粉や黒い粉を吸ったあとのものです。

洗面台に水を貯め、標準フィルターを浸して絞っただけです。


1回目 水が黒いです。


2回目 ましになりました。


3回目 まだほんの少しだけ黒いのですが、かなりキレイになりました。


影でわかりづらいですが、3回なら乾かして使ってよさそうでした。(三度洗いは実験の洗い物の基本です。)


次回以降は、標準フィルターは毎回水洗いするつもりです。乾かすのに時間がかかるので、全てのlt-50proに標準フィルターを最低もう1セットずつ揃える必要がありますね。。

↓テーマ毎のブログ記事のまとめも参考になりますね♪

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