24時間換気の盲点:フィルターの圧損やトイレの温度
我が家の24時間換気扇はダクトレス第一種熱交換換気です。
今回の話題は、住むまでは気づきにくい24時間換気の2つの盲点について、です。
我が家の場合、よく指摘される第一種熱交換換気の光熱費のトレードオフの問題は、もちろん、計画時に織り込み済みでした(*^▽^*)
第一種換気では、第三種換気に比べて給気口にもファンがある分、換気扇の電気代が第三種の倍以上になりますが、それでも第一種換気にした主な目的は、給気をできるだけ多くフィルターに通したいからでしたし、同じ理由で、C値0.5以下の気密処理もお願いしていました。
熱交換をつけた理由は、真冬や真夏にも換気扇からの風が嫌で換気扇を消したくなるのを避けるため、つまり換気を最優先にしたからで、光熱費のために第一種熱交換換気にしたわけではありません。
今回は、上記のよく言われるトレードオフ以外の、2つの、24時間換気の盲点を取り上げます。
①トイレの温度:こちらは、主に第一種全熱型熱交換換気の問題です。
②フィルターの圧損:こちらは第一種換気も第三種換気も共通です。
下記、それぞれ順に触れていきます。
①トイレの温度
最近のブログで、何回か、例えば、↓の記事でも、トイレが冬寒くはないものの、夏、少し暑い、と書いていました。
少し暑い、というのは、具体的には、トイレの外が27℃なのに、トイレの中は28℃、という、1℃程度の違いの話です(^^ゞ
ですが、その原因には触れてませんでした。
実は、我が家のトイレが夏に少し暑いのは、トイレの換気が24時間換気の経路から外れていることが、主な原因です。他の原因として、トイレの窓からの輻射もありますが、今回は、換気についてです。
さて、第一種換気で全熱交換やダクトレス熱交換の場合には、トイレの臭いを他の部屋に流さないために、通常、トイレを24時間換気の経路から外します。(顕熱交換の場合は別。)
その代わりトイレには、例えば、高気密住宅用のシャッター付きの換気扇を取りつけ、人がトイレに人が入ったら人感センサーで検知して、シャッターが開いて排気するようになっています。
もしトイレから24時間排気すると、せっかく熱交換して保ったエアコンの暖気や冷気を屋外に逃してしまい、その分、熱交換してない外気が給気口から入ってきてしまうからです。
そして、人がいないときにはトイレの換気扇がオフになるため、冷房された空気も廊下からトイレに入ってこず、少し暑いわけですね。実際、トイレの中にいつづけると、換気されて段々涼しくなります。
このように、換気扇を人感センサーに連動させた結果、トイレが少し暑くなったことは、実際に暮らしてから気づいてみれば当然のことなのですが、計画時には全く気付かなかった盲点でした(^_^;)
解決方法は、簡単です。
熱交換しない場合と同じ様に、トイレの連続排気のスイッチを入れるだけです。そもそも熱交換を導入しなかったら起きなかった問題ですしね(^_^;)
ただ、それもちょっと悔しいのと、家族の誰も苦情を言わないので、今のところ、トイレの換気扇は人感センサーに連動させ続けています。。
なお、本来、この現象は夏も冬も同程度起きているはずですが、我が家では、夏は気になるのに冬は気にならない理由は、冬は氷点下になることが少なく、夏はヒートアイランドで暑い地域柄、でしょうね。もっと寒い地域だったら、私も、冬も気になるかもしれません。
②フィルターの圧損
下記、第三種についてはYoutubeの動画の結果に、第一種については、我が家の測定結果に触れますが、どれにも共通していることは、フィルターを高性能にし過ぎたり、フィルターが汚れたりしたら、第一種であっても第三種であっても、フィルターの圧損が増え、計画通りの換気が難しくなることです。
☆第三種の場合
第三種換気のC値と給気の関係については、なかなか刺激的なYoutubeの動画が最近、twitterなどでも話題になっていました。
下記、2つの動画、動画主の解釈が正反対ですが、どちらも第三種換気で、給気フィルターが原因で、C値1未満の高気密住宅でさえも、給気口を通る換気量が、排気口を通る換気量の1/3以下になる(=2/3は隙間風で給気)という結果が示されていて、衝撃的でした。
↑の動画がC値0.5でも足りないと言っているのは煽り過ぎと思いますが、結果と解釈は、目の細かいPM2.5フィルタを使うなら、フィルターの圧損で起きうることです。
この会社は、かなり良い(=目の細かい)フィルターを使っているためか、C値0.5でも第三種換気では排気の半分以下しか給気口から給気できず、そのためC値0.3以下を推奨しています。
↓の動画は、C値0.9〜1程度でも第三種換気では排気の1/3以下しか給気口から給気できていない測定結果です。動画主は、給気フィルターが汚れているため、と解釈して、フィルターなしにした場合には、排気とほぼ同じ換気量が確保されているため、問題ない、と結論づけています。
結論だけ見ると、片やC値0.5でも足りない、片やC値0.9でも充分、としていて正反対の結論ですが、正反対なのは結論だけで、結果は全く矛盾していません。
違うのは、一番目の動画は高性能フィルターを付けた上での実際の換気量を重視しているのに対して、二番目の動画は、フィルターを外せば問題ない、として、新品フィルタの圧損さえも無視して、換気扇自体の性能を評価していることです。
つまり、上は、実際の生活での換気の話、下は、規定された設備が備わっているかの法律の話、と、別の観点で話しているから、結論が正反対に見えてしまうわけですね!
このように、フィルターの圧損を考慮すると、計画通りに換気するというのもなかなか苦労しますね。
上の2つどちらの動画の例でも、第三種換気で、ずっとフィルターのメンテナンスをしないと、どんどん、計画通りに給気口を通る空気の量が減ってしまうわけですね。よく「定期メンテナンスできない人には第三種換気扇を薦める」という話がありますが、それは、換気口にはフィルターしない、ということなのかもしれませんね。。
☆第一種換気の場合
我が家は、ダクトレス第一種で給排気両方に同じフィルターを付けているので、上の第三種換気の動画と同じ状況は生じないです。
すなわち、給気口と排気口を通る換気の量が大きく異なることはありませんので、計画通りの換気経路を保つには有利な方式です。
しかし、フィルターの目が細かくなったり、フィルターが汚れると、給気も排気も両方、換気量が落ちてしまいます。
そのため、3か月に1回、フィルターを掃除しています。しかし、高性能のPM2.5フィルターを試した際は、残念ながら、そもそも新品でも、給排気の両方が半減してしまい、使い物になりませんでした。(といっても、メーカーに問い合わせて聞いた仕様値通りの減少です(^^ゞ)
これらについて詳細は、下記の過去のブログをご覧ください。
実は、我が家の場合、このPM2.5フィルターの圧損まで、計画時にも元々は想定していたのですが、もしモーターがもっと強力だとうるさいし、換気扇倍増させる予算も場所もないから仕方ない、と手が回らずあきらめた経緯があります。。
↓我が家で実際に風量測定した結果
↓フィルターの真っ黒な汚れとフィルター交換の様子
↓PM2.5の測定とフィルターの汚れの考察:恐らく排気ガスが主因
以上のように、今回は、換気について、盲点になりそうなことを2つ、取り上げてみました。
24時間換気については、換気の種類や方式、経路、と、新築計画時も生活してからも悩むことは多いため、なかなか、ここまでは、実際、測定や生活をしてみないと気づかない人も多いかもしれない、と思い、書きました。
我が家も、今、改めて考えると、熱交換なしの第一種換気でも良かったかもしれません。
①については、我が家で24時間換気経路に入ってない、トイレや書斎や納戸にも24時間排気口をつけても良かったと思いますし、②についても、熱交換なしにして設備費が安くなる分だけ、今よりも最大給気量を増やせば、PM2.5フィルターの圧損にも充分備えられたかなぁ、とも思います。
まあ、実際に導入したのが、ディップスイッチで給排気を切り変えたり、赤外線リモコンで制御できる、スティーベル社のLT-50proだったからこそ、↑や↓のように、入居後に換気方式や換気経路を自由に変えたり、CO2濃度や外気の温湿度で換気風量や熱交換の有無を自動制御したりと、色々遊べているので、良いのですけどね(^^ゞ